2025年に読んでよかった本15冊(+タイパー推薦図書)

タイパーの皆さ~~~~~~~ん!!!!
本、読んでますか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????????????????????

・・・

(沈黙の後、何人かが手を挙げる。残りの人たちははにかんだ顔をするか、うつむいてスマートフォンをいじっている)

2025年ベスト本

本ページでは、うぇるあめが2024年12月~2025年11月に読んだ百数十冊の本のうち、特に良かった15冊を紹介します。

それぞれの本には、以下のパラメータを★~★★★の三段階制で付けています。
読みやすさ:★が多いほどとっつきやすいです。
エンタメ性:★が多いほどストレートな面白さがあります。
凄み:★が多いほど、一般的な本では得られないような読書体験ができます。

なお、この記事はタイパー Advent Calendar 2025 (フリー部門) 7日目の記事です。ちょっと遅刻しています。

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12/6(タイピング部門):買ってよかったキーボード トップ10 (2025Ver.)
12/7(タイピング部門):タイピング速度測定エンドレス1万打鍵をノーミスで打ち切った話

ハーマン・メルヴィル『白鯨』

アメリカ文学の歴史的名作。巨大な鯨「モービィ・ディック」に復讐を誓う船長のもと、過酷な海に繰り出す捕鯨船の物語。執拗なまでに繰り返される鯨の描写が、作品全体に常軌を逸したオーラを与えている。すごい小説。

読みやすさ:★
エンタメ性:★★
凄み:★★★

https://www.shinchosha.co.jp/book/203201/

稲垣足穂『天体嗜好症』

天体や宇宙をテーマにしたオムニバス短編集。宇宙への想像力を突き詰めすぎた人間による、理解不能で豊かなコスモファンタジーがひたすら続く。これもすごい小説。

読みやすさ:★
エンタメ性:★
凄み:★★★

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309415291/

山本周五郎『正雪記』

江戸時代の軍学者・由井正雪を主人公とする歴史長編。困窮する浪人たちのために立ち上がり、明晰な頭脳を活かして強大な相手と戦う王道物語。多数いる登場人物のどれもが活き活きとした人格をもって描かれており、読み応え抜群。

読みやすさ:★★
エンタメ性:★★★
凄み:★

https://www.shinchosha.co.jp/book/113467/

グレッグ・イーガン『ディアスポラ』

人類のほとんどが肉体を捨てた30世紀の未来で、人類の破滅に対抗すべく果てしない冒険を始める物語。高度な科学的考証のうえに物語を作り出すいわゆる「ハードSF」の名作だが、そのストーリーは静謐なロマンチックさも十二分に含む。

読みやすさ:★
エンタメ性:★★★
凄み:★★★

https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000611287/

スタニスワフ・レム『虚数』

「実在しない本の序文集」という体裁のもと、人智を遥かに超えた未来の知能を描く文学作品。未来の言語で書かれた辞書、自然の摂理によって知能を発現させた細菌、会話困難なまでに発達したコンピュータによる講義録など。アイデアフルな文章たちは、いずれもそのスケールの大きさによって畏怖の念を抱かせる。

読みやすさ:★
エンタメ性:★
凄み:★★★

https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336035936/

江崎貴裕『数理モデル思考で紐解くRULE DESIGN』


ルールはどういうときに失敗し、どういうときに上手くいくのか。そんな「ルール作りの鉄則」を、実際にあった豊富な事例を引いて徹底的に考え尽くす本。読み物としても教科書としても十二分に面白い。

読みやすさ:★★★
エンタメ性:★★★
凄み:★

https://www.socym.co.jp/book/1386

キムリッカ『新版 現代政治理論』

現代において有効とみられるさまざまな政治思想について、膨大な議論の蓄積を一挙に整理する学術書。辞書並の厚さがある本だが、「正義」や「善」といったワードを見つめるにあたって自分の中に確実な基礎を築くことのできる名著。

読みやすさ:★
エンタメ性:★
凄み:★★★

http://www.nikkeihyo.co.jp/books/view/1770

千葉雅也『センスの哲学』

「センスが良くなる本」という大上段に構えたキャッチコピーのもと、あらゆる芸術を横断する「表面的なリズムを楽しむ」見方をインストールする本。現代思想/哲学をベースにしながら、刺激的なものの見方をやさしく伝えるベストセラー。

読みやすさ:★★★
エンタメ性:★★
凄み:★★

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163918273

難波優輝『物語化批判の哲学』

われわれは人生を物語として捉えるあまり、その引力に逆に囚われてもいる。そこからの脱出路を開き、「ゲーム的な人生」「パズル的な人生」「ギャンブル的な人生」「おもちゃ的な人生」をキーワードとしてさまざまな捉え方を横断する、底抜けに自由な文章。

読みやすさ:★★★
エンタメ性:★★
凄み:★★

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000415351

野矢茂樹『新版 論理トレーニング』

論理の通った文章を書ける能力とは、どのようなものか。徹底して実践に重きを置きながら、練習問題つきで地力を鍛えていく筋トレ本。

読みやすさ:★★★
エンタメ性:★
凄み:★★

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784782802113

渡邊博史『生ける屍の結末 「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相』

『黒バス』脅迫事件で世間を騒がせた渡邊被告が獄中で書き下ろした手記。直々に出版を引き受けたのは、実際に脅迫状を送られた会社の一つである創出版。一人の人間が世界から引き剝がされ、破滅のうちに燃え、その先で自分を見つめ直す。迫力に満ちた一連の過程を、尋常ならざる文才で描く。

読みやすさ:★★
エンタメ性:★
凄み:★★★

https://shop.tsukuru.co.jp/shopdetail/000000000098/

秋田麻早子『絵を見る技術』

訓練を受けた人は、絵をどう見ているのか? 配置、線、バランス、色。ただ絵を見るだけでこんなにも多くのものが読み取れるのかと驚かされる、視覚言語の易しい入門書。

読みやすさ:★★★
エンタメ性:★★
凄み:★

https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255011110/

リチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』

思想も言葉もすべてが偶然の産物にすぎないこの世界で、それでも苦痛を憎み、社会を構築していくことはいかにして可能か? 矛盾をいとわぬ破壊的なスタンスを取る、哲学界の異端児の本。

読みやすさ:★
エンタメ性:★
凄み:★★

https://www.iwanami.co.jp/book/b260939.html

橋本実千代監修『青の図鑑』

その名の通り、「青」というテーマを一冊丸ごと特集したミニ図鑑。さまざまな青色の紹介に始まり、自然界の青、各文化における青、青にまつわる言葉など、一つの色にこれでもかとのめり込む不思議な本。

読みやすさ:★★★
エンタメ性:★★
凄み:★

https://sansaibooks.stores.jp/items/64869dc0f06ae8002f4e81bd

ほし『遺失物統轄機構』

イラスト集。架空のゲームの攻略本という形式を通して、断片的にひとつの物語を描く本。薄暗い絵柄が想像力を刺激する一冊。

読みやすさ:★★★
エンタメ性:★★★
凄み:★★

https://www.kadokawa.co.jp/product/322312000920/

タイパー推薦図書

せっかくのアドカレ記事なので、ここでは今年読んだ本の中からタイパーにおすすめできる本をピックアップします♪♪♪
★のパラメータは省略し、タイトルと内容のみ紹介します。ここに書いてあることを私がちゃんと活用できているのかという指摘は、完璧に黙殺します。

鈴木宏昭『私たちはどう学んでいるのか: 創発から見る認知の変化』

「人間が動作を学習するメカニズム」それ自体について、非常に多くの知見を提供してくれる本。どの部分もまんべんなく有用だが、とくに上達に関する項の、「伸び悩みや後退は、いままでできなかった別のやり方が自分の中に割り込んできたがゆえの一時的現象」というくだりに勇気づけられる人は多いはず。

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480684318/

大築立志、鈴木三央、柳原大編著『運動学習の脳・神経科学』

専門的な文章たちを通して、人間の学習行為に関するさまざまな用語を一挙に学べる本。「オーバーラーニング」(1回基準をクリアしたところで練習を打ち切らず、何回も練習を繰り返す)や「オーバーロードの原理」(練習効果を上げるためには、それまでより高い負荷を与えることで疲労させ、新しい負荷に適応させる)など、なんとなくで認識されていた部分をよく整理できる。その他、ダイレクトに練習に役立つ研究データが盛りだくさん。

https://ichimura-pub.com/shop/%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%AD%A6%E7%BF%92%E3%81%AE%E8%84%B3%E3%83%BB%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%A7%91%E5%AD%A6-%E2%80%95%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E3%81%8B%E3%82%89%E8%87%A8%E5%BA%8A%E3%81%BE%E3%81%A7/

為末大『熟達論』

トップ陸上選手みずからが整理した、すべてに通ずる上達の基本。初めは遊び、つぎに型を覚え、その型に慣れて核だけを取り出せるようになり……。そんな上達の五段階をひもとく本。

https://www.shinchosha.co.jp/book/355231/

ジョッシュ・ウェイツキン『習得への情熱』

こちらはチェスと太極拳のふたつの分野でトップに立った著者による上達論。ストイックの極みともいうべき生き方を見ているうちに、異なる世界が開けてくるような本。動作を繰り返して核を取り出すという原則は、上の『熟達論』ともかなりの部分を共有している。

https://www.msz.co.jp/book/detail/07922/

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